日本の伝統的な絵画、水墨画。
水墨画は海外ではZEN Paintingと呼ばれることもあります。
墨絵は墨で描いた絵。
そして水墨画とは墨絵の一種で、黒から淡い灰色までのグラデーションが加わります。
水墨画に必要な主な材料は墨と呼ばれるもので、墨は煤、膠、香料から作られます。
硯に垂らした少しの水を墨ですることで、濃い黒い色が出来上がります。
この出来上がった黒いインクにさらに水を混ぜ、その混ぜる水の量によって黒のグラデーションを創り出すことができます。
日本では、水墨画は単に黒の絵だけでなく、墨をメインに使って少しの色を混ぜたものも水墨画と呼びます。
墨絵は奈良時代(710-794)にはすでに日本に存在しました。
そして、水墨画は鎌倉時代(1185 – 1333)に日本へ伝わり、室町時代(1336 – 1573)には禅寺と深く結びつき、人気となったそうです。
14世紀ころまでは水墨画の題材は主に、人物画や花鳥画と呼ばれるものでした。
15世紀にはいり、山水画が人気となります。
山水画の題材は、滝、岩、木、川、山などの自然です。
私自身では日本の自然や象徴を水墨画に描いています。
桜、竹、松、富士山、鶴、鯉などを主に描き、時には虎や龍なども加えます。
龍は日本では龍神と呼ばれる神であり、縁起が良いとされ、掛け軸にもよく登場するものです。
虎もその鋭い瞳で邪悪を取り払うという意味で家を守るとされ、縁起物として掛け軸の題材とされます。
このように日本の自然だけでなく、縁起物の象徴も水墨画にとりいれ、日本の美をユニークな水墨画のグラデーションで表現することができるのです。