
掛け軸の虎
虎は日本の掛け軸においてポピュラーな題材の一つです。
和室の床の間に飾られる掛け軸。
その掛け軸に、動物界の王者といえる虎が描かれているのには大きな意味があります。
虎がこちらを睨みつける一見恐ろしい表情は、実は部屋にいる邪悪を睨みつけているのです。
虎の眼は邪悪を打ち負かすと言われています。
虎のパワフルな視線はこちら側にいる人や家を守ってくれているのです。
虎の絵が描かれた掛け軸は、幸運を呼ぶパワーを秘めています。


掛け軸の虎
虎は日本の掛け軸においてポピュラーな題材の一つです。
和室の床の間に飾られる掛け軸。
その掛け軸に、動物界の王者といえる虎が描かれているのには大きな意味があります。
虎がこちらを睨みつける一見恐ろしい表情は、実は部屋にいる邪悪を睨みつけているのです。
虎の眼は邪悪を打ち負かすと言われています。
虎のパワフルな視線はこちら側にいる人や家を守ってくれているのです。
虎の絵が描かれた掛け軸は、幸運を呼ぶパワーを秘めています。
日本の伝統的な絵画、水墨画。
水墨画は海外ではZEN Paintingと呼ばれることもあります。
墨絵は墨で描いた絵。
そして水墨画とは墨絵の一種で、黒から淡い灰色までのグラデーションが加わります。
水墨画に必要な主な材料は墨と呼ばれるもので、墨は煤、膠、香料から作られます。
硯に垂らした少しの水を墨ですることで、濃い黒い色が出来上がります。
この出来上がった黒いインクにさらに水を混ぜ、その混ぜる水の量によって黒のグラデーションを創り出すことができます。
日本では、水墨画は単に黒の絵だけでなく、墨をメインに使って少しの色を混ぜたものも水墨画と呼びます。
墨絵は奈良時代(710-794)にはすでに日本に存在しました。
そして、水墨画は鎌倉時代(1185 – 1333)に日本へ伝わり、室町時代(1336 – 1573)には禅寺と深く結びつき、人気となったそうです。
14世紀ころまでは水墨画の題材は主に、人物画や花鳥画と呼ばれるものでした。
15世紀にはいり、山水画が人気となります。
山水画の題材は、滝、岩、木、川、山などの自然です。
私自身では日本の自然や象徴を水墨画に描いています。
桜、竹、松、富士山、鶴、鯉などを主に描き、時には虎や龍なども加えます。
龍は日本では龍神と呼ばれる神であり、縁起が良いとされ、掛け軸にもよく登場するものです。
虎もその鋭い瞳で邪悪を取り払うという意味で家を守るとされ、縁起物として掛け軸の題材とされます。
このように日本の自然だけでなく、縁起物の象徴も水墨画にとりいれ、日本の美をユニークな水墨画のグラデーションで表現することができるのです。
日本の掛け軸 - 縁起物
掛け軸は日本画や書道などを展示するためのもので、古くから親しまれてきました。
日本の伝統的な家屋には和室があり、和室には床の間があり、そこには必ずと言っていいほど掛け軸が飾られてきました。
掛け軸の題材となる絵は様々なものがあります。
特に縁起物とされる絵は非常に好まれてきました。
”山水画” - 山や川、滝、岩といった自然を題材にしたもの。
それらの一つ一つには禅における重要な意味があり、これらを描いた山水画は禅の理想世界とされて、私たちに安らぎを与えてくれるものです。
”季節の花や木” - 四季のある日本では、家の外だけでなく屋内でもその季節感を楽しむべく、季節に応じた花や木を題材にした絵が季節ごとに飾られます。
特に厄除けの意味のある花や木が好まれます。
”虎” - 一番強い動物とされる虎。虎は不運や厄を払いのけ、幸運をもたらすものとして古くから信じられています。その鋭いにらみを利かせた目は、こちらを向いていることが多く、こちら側にある厄を睨みつけていると言われます。
”龍”(”龍神”) - 日本では龍は龍神と言われ、神様です。立身出世の紙として信じられ、また龍が空へ舞い上がる様は開運をもたらすものとされています。
”富士山” - 富士山は誰もが知る日本で一番高い山で日本の象徴です。古くから霊峰と敬われ、神が宿る山と信じられてきました。特に朝日に赤く染まる赤い富士山には強い開運パワーがあるとされています。
そのほかにも松竹梅や鳥など、さまざまな題材が掛け軸に使われています。
そのどれもが意味のあるもので、掛け軸を家に飾ることで、そこに住む人の厄除けとなり幸運をもたらすとされ、また掛け軸は人や家を守ってくれているのです。