禅の精神 一期一会
一期一会とは禅の精神で、“人生で一度だけの出会い”、という意味。
この精神は、禅と深いかかわりを持つ茶道からきているそうです。
初めて茶道を体験したときに、茶道にはたくさんの決まり事があることを知り、驚きました。
それまで茶道といえば、ただ単に抹茶を作ることだと思っていたのです。
実際には、一つ一つのすべての動作は決まり事に沿って行われる必要があり、その決まり事は、部屋に入る際の踏み出す足から、道具の持ち方、持つ位置、どこに道具を置くか、どんな角度で腕を動かすか、なつめの開け方、茶筅の持ち方、動かし方、などなど数えきれません。
茶を作る行程自体は数分というところなのですが、その決まり事の多さには驚かされました。
また、それは客人である側もしかり。
飲み方などにもたくさんの決まり事があるのです。
そして、なぜこんなにも細かい決まりごとが必要なのだろうと疑問に思ったのです。
そこで、茶道の先生から一期一会という禅の精神を教わったのです。
茶道とは、一瞬一瞬のすべてを楽しむという機会。それは、そこに集まった人たちであり、お天気であり、聞こえる音であり、目に入るものであり、そういった一つ一つのすべての要素が織りなすものが、今この瞬間というときを創り出し、その今という瞬間は二度と訪れることのない忘れがたい時。そのために、茶道にはおもてなしの精神が欠かせないといいます。
この忘れがたい時を創るために、最大限のおもてなしで客をもてなし、抹茶を煎じるのだそうです。
例えば、決まり事にのっとった形で行われる茶道の道具の清めは、客人の前ですることで、客人への尊敬の念を表していると言います。
また、客人が抹茶を飲む際の決まり事も、亭主や他の客への尊敬を表しています。
これらが多くの決まり事のある所以。
最善の時を創り出すための決まり事にのっとって生まれるその瞬間というものは、亭主と客が“人生で一度だけの出会い”を味わうことのできる時間なのだそうです。
「一期一会」は、私たちにすべての出会いの瞬間というものは二度と同じように再現されないということを教えています。
出会いの時というものを常に大切にし、感謝の念と共に相手をもてなす・敬うということを心にとめておきたいものです。